サマータイム

この夏二年後の真夏の東京オリンピックに向けて、国会でサマータイムの導入が議論されていた。ところが先にサマータイムを導入しているイギリスを始めヨーロッパ諸国では、逆にサマータイムの廃止を訴える人々が80パーセントもいるらしい。日照時間の長い夏場だけ時計の針を一時間長くすることは、確かに節電効果など一部メリットもあると思う。しかしこれは頭で効率だけを考えるほど簡単なことではない!我々のように歳を重ねるとだんだん朝型になり、早く起きるので一時間時計の針を早めることなどなんの支障も無い。ところが若い人たちにとっては大変なことだと思う。日本でも戦後一時期サマータイムが導入されたが3年で廃止になった。

「ああ、いけねえ今日からサマータイムだったよなあ!」と気づいたがもう手遅れだ。イタリアで語学学校に通っていた時に、いつものように朝7時に目覚まし時計の鳴る音で起こされた。ところがその日は4月X日からのサマータイム導入の日だった。だが1時間早く目覚まし時計をセットし忘れたので、もうすでに実際には8時!今から起きて学校に行ってもどうせ遅刻だからと、その日は休むことにした。ところが翌日に目覚ましを一時間早くするが、どうしても起きられない。結局それがきっかけで学校は休みがちになり、慣れるまで10日ほどかかった経験がある。何しろ若い時は長く寝ていられる。今考えてみるとなぜあんなに長時間続けて寝ることが出来たのか不思議なくらいだ。

「もう俺、学校にいきたくねえ!」私もそうだったが、全ての子どもや若い人が学校や会社が好きなわけではない。中途半端で上手く適用できない子もたくさんいると思う。イヤイヤ学校に通っている子供たちもいるなか、サマータイムの導入をきっかけに、登校拒否のきっかけになるのではと憂慮する。日本の7月の暑い盛り、まだ涼しい早朝や陽の長い夕方に競技を行い、選手に負担をかけずに東京オリンピックをつつがなく成功させたいという、主催者の気持ちも分かる。でもすごく微妙な立場で学校に通っている子供たちもいるのだ。早起きが苦にならない熟年達の議論だけで勝手に決めると、それに対応できない子供が多く出る可能性もある。

サマータイムも終わり冬時間になった。目覚めの悪い朝はこの湯飲みで、濃い目の粉茶を飲む!(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

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