カッパ巻き

河童と言えばすぐにキュウリのカッパ巻きが頭に浮かぶ。でもこのカッパ巻き昔は寿司ネタには無かった。子供のころ海苔巻きといえばカンピョウ巻きが主であったが、最近ではカンピョウを巻いた海苔巻きを出す寿司屋は少ない。私は小学生までは刺身が苦手で、カンピョウの海苔巻きと卵焼きだけのニギリをたのんでいた。代わりに巻き寿司で増えてきたのが簡単なカッパ巻きである。安い寿司の代表でランチのニギリなどを頼むと、必ず腹の足しにと添えられる。カッパ巻きが登場したのは、戦後食材不足の時代に東京の八幡寿司という寿司屋が最初で、何か巻くものはないかと始めたのが徐々に広まったらしい。

なんでキュウリをカッパというのかは、一説によると河童が丘に上がると皮膚が乾くのでキュウリを切って肌に貼り付けたことによるそうだが、いずれにしても実在しない生き物なので憶測でしかない。河童が好きなのはキュウリでなく子供の尻子玉(しりごだま)だとむかし父親から聞いた。「絶対に川には入るなよ、河童にしりごだまを抜かれるぞ」釣りに出かけると告げる私に、父親が背後から声をかける。子供ころは私の住む市川にも小川や溜池が多く、子供達のよい遊び場であった。そこで水の中に入ると河童が下から手を伸ばし、お尻の中にある尻子玉を抜くと脅された。尻子玉を抜かれると力が抜け落ち溺れるらしい。実際に川で溺れ死ぬ子も多かった。

この尻子玉は人のお尻の肛門の近くにある架空のタマネギのような形の臓器で、魂の塊であるという。これを抜かれると、体はただの抜け殻になってしまい恐れられた・・・。むかし江戸近くの本所にあった「置いてけ堀」は魚が沢山取れたそうだ。釣りをして取れた魚を持ち帰ろうとすると水中から、「置いてけ!置いてけ!」という声が魚を返すまで聞こえるという。そのまま立ち去ると皆から置いてきぼりを食い、とり残されて出世できないという。この声の主も河童だとされている。父親にはたびたび河童の話を聞かされたが、昔の人はこの様な架空の話しを言い伝えて、子供に危険を知らせたり、魚の枯渇を防いだりしていたのであろう。

カッパといえば黄桜酒造のマスコットになっていた漫画を描いた、清水コン氏を思い出す。(千葉県八千代市勝田台勝田陶人舎)

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