テイスティング

フランスやイタリアで高級レストランに入り、コース料理たのむとまず悩むのがワインボトルの選択である。ワインは銘柄数も多く高級ワインなど日頃飲みつけないので知識が乏しい。ワインリストを見るが分からないので私は味よりも価格で選ぶ。しばらくするとボーイがそのボトルを手に持ち客にラベルを見せ「これでいかがでしょうか?」と確認させる。次に客の目の前でボトルのコルク栓を抜くと、テーブルの誰かにテイスティングを依頼する。ここでワインの知識もあまりないのに、もし「ノン・バ・ベネ(良くないです)」、あるいは顔をしかめるたらどうなるだろうか?「さあ大変だ!」ボーイはその客がワインの味に詳しいと思っている。ボトルを持って厨房に戻り何人かで少し飲んで品質をチェックする。(彼らはプロだ!かっこつけるとここでバレル)

しばらくして、また新たな一本を持ってきてボトルを開栓しテイスティングする。今度は適当に微笑んでベーネ(よいです)といい、会食が始まるが最初の(良くないボトル)会計は誰が持つのか・・・?「高級レストランのワインボトルはボルドー産が多くどれも高い」高いワインを持っているのかどうかが、レストランのステイタス。でも一度栓を開けたワインは価値はなくなるので、レストラン側でもワインの仕入れと管理には気を使っている。高級ワインは何年も寝かせるので同じボトルでも管理が悪いと味に差が出る。そこでテイスティングして味の確認をするわけだが、高級ワインにはあまりなじみのない、日本人に味の微妙な差など分からないと思う。

よせばいいのに以前、イタリアの高級レストランに同行したわたし先輩が、これを気取ってやった事があった。「テイスティングとは本来品質のチェックで、好みの味のチェックではない」口に合わないのは銘柄の選択が悪いあなたの責任で御代はきちんと頂きますと、あとでしっかり(飲んでない良くないボトルの代金)も請求された。結局五人で割り勘したが、「味も分からないくせにカッコつけやがって、あのボトル代金ぐらい自分で払えよ」であった。イタリア人でもたまに会計の時に客とレストラン側で、この支払いについて口論している場面に出くわすことがある。でも客が品質チェックでよほど微妙な味の差まで追求できないと、レストラン持ちにはならない。テイスティングはあくまで儀式と捕らえた方が無難であると思う。

写真、自宅のワイングラスを並べてみました。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)

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