夏みかん

この時期、工房のある勝田台の住宅地を歩いていると、庭から歩道に枝を伸ばした夏みかんの木に、実が鈴なりになっているのを見かける。今が収穫時期と見られるのに実を採る様子もない。毎年こうして収穫されずに道路に落ちたりして腐っていく。我々が子供の頃、夏みかんは八百屋で売っていてよく食べた。非常に酸っぱいので皮と袋をのぞき、器に入れて沢山のお砂糖と混ぜると、酸っぱさも緩和され結構うまい。しかし食べた後に歯が浮くので困ることもある。その後、夏みかんを多少改良した甘夏みかんが出てきて一時期人気があったが、それでも酸っぱいので最近は売っているのをあまり見かけない。

今の人の味覚ではどうやら夏みかんは食用ではないらしい?観賞用で寂しい冬の庭の彩りに重宝されているくらいだ。食べる人もいないので売り物にもならず、人にあげても迷惑がられるだけのようである。私は夏みかんが不人気になった一因は、グレープフルーツの登場ではないのかと思う。色も大きさも似ているが、甘さと果汁の多さは夏みかんの比ではなく旨さが全く違う。半分に切ってブランデーなどをたらし、スプーンで食べるのも上品で良い。戦後しばらくは日本は外貨が足りなく、バナナなどの輸入果物はとても高かった。グレープフルーツを最初に食べたのは中学時代で、三越の果物売り場に並び始めた頃からだ。当時グレープフルーツは輸入され始めたばかりで珍しく、一個が800円位で非常に高価だった。

その後グレープフルーツが安くなると大人気になり、同じような外見の夏みかんが敬遠されるようになる。その代わりにグレープフルーツは頻繁に食べたが、あれだけ喜んで食べていたグレープフルーツも最近、食べる頻度が減ってきた。私もこの一年グレープフルーツを食べた記憶もないくらいだ。また新しい柑橘類もどんどん登場してきている。しかし柑橘類は実をつけるまでに時間がかかる。イチゴのように一年で品種を簡単に変えられない、実をつけるまで十年以上もかかると、ポンカンが人気でも実がなった頃に不人気では最悪だ!食の好みは時代と共にどんどん変わる。十年先など分からないので栽培農家も大変だ!

「桃、栗三年、柿八年、柚子(ゆず)のバカヤロ!十一年」むかし農家の子供にきいた言葉だ。写真はいぜん買った黒の楽茶碗、表面のボコボコを柚子肌と言います。拡大してみてください。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)

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