茶飲み話・培養肉

最近中国ではザリガニ料理が大人気だという。もともと中国の揚子江周辺は湖沼や湿地が多く、鯉などの淡水魚が多く養殖されてきた。でも近年はそれらの場所で注目されているのがアメリカザリガニ養殖である。ザリガニは繁殖力が強く丈夫なのでたいした手間もいらず、いくらでもとれる。食糧難の時代に人口の多い中国にはぴったりの食材である。

日本でもザリガニは明治以降食料ガエルの餌さとしてアメリカから輸入されたが、海産物の豊富なわが国では食料とされることはなかった。近年まで淡水魚中心で海水魚になじみのなかった中国人がサンマなどの青魚に目覚め、世界の海で乱獲を繰り返す今日、ふたたび原点に戻りザリガニなどの淡水魚に注目が集まるのは、世界の海にとっても歓迎すべきことある。

「培養肉って、いったい何だ!」謎めいたこの名の培養肉は近年急に注目されるようになった。培養肉は肉の組織を試験管で直接培養することで得られるという。現在では70社あまりがこの分野の新規参入しており、牛、豚、魚、ウナギまで研究開発が進行中だ。近い将来これら培養肉が市場に出回る日も近い。動物愛護の観点からも培養肉は推奨されているらしい。

すでに先行して大豆タンパクを用いたビヨンドミートはマクドナルドのハンバーガーにも使用されている。これに培養肉も新規登場すれば食文化は大きく変わる。「昔人間は動物を殺して食べていたの、残酷ね」と母が子に語る日も遠くない。でも役割を終えた家畜たちは急激にその数を減らすだろう。ペットで牛を飼う人もいないので、彼らの繁栄も終焉するのだ。

まだ馬が馬車をひいていた子供の頃、馬はもっと身近な存在であった。もし現在馬が都会の道路で馬車を引いたらニュースになる。木曽馬など日本の農耕馬も使役から開放されたらほとんど絶滅した。そこで人間の食料で無くなった家畜もたぶんおなじ運命をたどる。これが家畜達にとって良いの悪いのか?牛さんに聞いてみたい。(ザリガニや昆虫でなく、本物が食えるのも今のうちですかね。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

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