コーンフレーク

蝉の声も消え秋本番になると、コオロギなどのバッタ類の出番だ。夜テレビなどを見ず静かにボンヤリとしていれば、虫の声も聞こえてくるはずだが最近では自宅周辺も庭木なども減ったのか、余り聞いたことがない・・・。昔は虫篭にキリギリス、マツムシ、鈴虫などを飼い、その虫の音を楽しむ人も多くいた。昭和の時代までは鈴虫を育てる人もいて、何匹か貰ったこともある。静かにその虫の音を聞いて季節のうつろいなどを感じていたが、最近では虫を飼う人など聞いたこともない。我々の子供の頃はキリギリスは縁日でも売っていて、父親が虫の音が好きで買って帰ったこともあった。当時はラジオを止めて、秋の夜長を虫の音を聞いて静かに過ごす、平安時代から続く風流心もまだ残っていた。

「チン、チロリン、ピッピ、ポー!」などと新種の虫の音と思いきや、これが全部スマホの呼び出し音だ。知らないうちに耳を澄まして聞くのは虫の音から、電子音へとすり替わった。今はどこにいてもその電子音に注目する意識がどこかにある。車内でも近くで自分と同じ着信音がなると、「あ、俺じゃないのか?」思わずバックの中のスマホを探り着信ボタンの点滅などを確認する。もう今やほとんどすべての人がスマホ依存症だ!あまりスマホの操作が得意でない私でさえ電話、メール、ライン、フェースブック、ネットのブログ・チェックと頻繁にスマホをいじっている。子供ですらオモチャの携帯電話から、今は本物のスマホを操る。

そうだ!子供のころ糸電話というものが流行ったことがある。(これを知っている人は、もうかなりのオールドヒューマンである)トイレットペーパーの芯のような丸くしたボール紙に、パラフィン紙を貼り付け真ん中に糸を通す。その二つを繋ぐ糸をピンと張ると、お互いの声が聞こえるというのだが何度試しても、ほとんど直接の声しか聞こえなかった。5歳でもスマホを操る孫に、この手作り玩具を与えても、たぶん何の関心も示さないだろう?そういえば最近は電話ボックスもほとんど撤去されて見かけない。公衆電話でさえ最後にかけたのは、いったい何時だったかの記憶も薄れている。自宅に固定電話を置かない若い世帯も多い。自宅の電話などほとんど不要!かかって来るのはセールスとオレオレ詐欺への誘いくらいだ。

先日の台風で私の住む市川市東菅野1丁目は久しぶりに朝6時間の停電をした。電気が使えないので朝食はこコーンフレークを食べた。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

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