一般的に焼き物と称する器には磁器と陶器があるが、この区別をはっきり理解している人が意外に少ない。まず原料が違う。磁器は磁石という白い石を砕いて粉にし、水を加えて粘土状にしたものを使用するが、陶器は川や湖の底など泥沼地に溜まった粘土層が、地殻変動などで隆起し、地層となって現れた土の粘土が原料である。
粘土が原料の陶器は土器から進化し、どこの国でも昔から作られてきた。いっぽう磁器は中国が発祥だ。景徳鎮をはじめ磁石の採れる一部の場所で秘密裏に作られてきた。中国が戦乱で混乱すると、代替品として(秀吉が朝鮮出兵の時に鍋島藩など、九州の藩主らが朝鮮から連れてきた、陶工に焼かせていた)伊万里など磁器がヨーロッパに輸出されはじめる。
その後ヨーロッパでも自国生産を目指し王室の保護の下、研究開発が進められマイセン、ロイヤルコペンハーゲン、ウェッジウッドなど独自の磁器が登場する。今日では磁器の製作はヨーロッパの方が盛んでブランド化もされている。
写真の上が自宅にあるマイセンの皿。下は自作の陶器の皿。この両極端の二枚の皿を良く見比べて欲しい。精巧な型を作り磁土を流し込んで成型し、薄くて完成度の高い美を追求した磁器。自然との一体感大切にする日本人の感性をイメージして、厚くザックリと製作した陶器。料理や用途などによっても違うが、日本料理の基本は食材を過度に手を加えず、自然の味や姿を生かすという。天ぷら、刺身など代表的な日本食を盛ったとき、さてどちらの器が合うのだろうか?(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)