御御御付け

我が家では子供の頃、味噌汁のことを御御御付け(おみおつけ)、あるいは御付け、(おつけ)とよんでいた。あるとき母に味噌汁と言ったら、江戸では味噌汁とは言わない(おみおつけ)と言いなさいと注意されたことがあった。母が言うには味噌汁では田舎臭くイメージがおいしそうでないし、濁った感じなので江戸っ子には粋でないと言うのだ。母親は亡くなるまで味噌汁という言葉を使わなかったが、我々の代になるといつ日か、一般的に使われ始めた味噌汁という呼び名に変わってしまった。千昌夫の「かあちゃんの味噌する飲みでえなあ!」のあの言葉で決定的に東北文化に侵略されていったのか、今ではオミオツケと呼ぶ人は少ないようである。

ところで我が家では昔、アサリ戦争というのが勃発したことがあった。我々夫婦は結婚してしばらくは離れて生活していたが、両親が歳とってきたので同居を始めた頃の話し。私が仕事から帰ってくると妻が不機嫌な顔をしてこう私に言った。「こんや、夕食にアサリの味噌汁を出したら、おかあさんに注意されたのよ。アサリは味噌汁でなくお澄ましでしょう、あんたこんなことも知らないの?」と言われたというのだ。確かに我が家ではシジミは味噌汁、アサリ、ハマグリはお澄ましと決まっていてアサリの味噌汁など飲んだことがない。

一方妻の家ではシジミ、アサリは味噌汁、ハマグリはお澄ましだったという。私の母親が言うにはシジミは川でとれる。生臭いので味噌仕立て、アサリ、ハマグリは海でとれるのでお澄まし、これ江戸の常識だと言うのだが、妻も負けてない「私の母は東京生まれで家業はそこそこのグレード料理屋、そこで育った母がそんなこと知らない分けがない」と一歩も引かなかった。そのた味噌汁に入れる味噌なども地方により大きく異なるので、旦那の出身地が白味噌で奥さんが八丁味噌ではどちらかに不満がでる。皆さんのご家庭ではいかがでしょうか?私はどちらでも良いが、今ではもちろんアサリは味噌仕立てでいただいています。

朝食が和食の時代、味噌汁は毎日飲んでいたのでこだわりがあったが、一ヶ月に数度ではそのこだわれも薄れる。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)

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