塩鮭

大きな黄銅色のアルマイト製の弁当箱にビッシリ詰まれたご飯の上に、ベッチャリと鮭の切り身が一枚乗っただけの美しい鮭弁当!(アルマイトとはアルミニュームの表面を強くするために陽極酸化皮膜を作る処理という。弁当箱やヤカンに良く使われていた)これはむかしドカベン(土方の弁当)と呼ばれ力仕事をする労働者の定番弁当であった。冷凍設備もろくにないこの頃の塩鮭は、保存のためとても塩が濃い。焼くと鮭の切り身から塩が白く粉を噴く。塩が多いので夏場、鮭をご飯の上に乗せると腐りにくく、同時に塩分も取れるので汗をかく仕事師には最適であったのだ。

「おかあちゃん。これって鱒じゃないの?」そもそも魚嫌いであった私は、油っけの無いパサパサな鮭の切り身が子供のころ食卓に並ぶと、こう言って母親に難癖をつける。当時私の認識では切り身が大きく油の乗っているのが鮭、切り身が小さく油が無いのが鱒と単純に感覚で区分けしていた。(海で取れるのが鮭、淡水の湖や川で取れるのが鱒と思っていた)この言葉を真に受けた母親は翌日魚屋に行くと「昨日の鮭!あんたが鮭だというから買ったのに、これは鱒だと息子が怒っていたよ。だって油が無かったもん」と文句を言う。すると魚屋は「いや、あれは鮭です」と断言したというのだが、鮭と鱒の違いがそもそも良く分からなかった。

今話題の大谷君が大リーグのエンジェルスに移籍して大活躍している。日本人としては嬉しい限りだが、同じチームにトラウト(鱒)という名の好打者がいる。「トラウトか?だったらサーモンという名の人もアメリカにはいるかもしれないな」とかってに想像しながら野球中継を楽しみに見ている。アメリカでは川で取れるのがトラウト、海でがサーモンと呼んでいるというのだが日本では樺太マスなど、海でとれてもマスと呼んでいることもあり明確に分けてはいない。元来サケとマスは種としての違いは無いらしく、ネットで調べてもいまいちはっきりしない。ドカベンといえば水島新司の野球漫画が有名で「週間少年チャンピョン」連載され一時非常に人気があった。

写真の器は工房の会員、橋本美智代さん作。形が面白いので掲載しました。ここに鮭の切り身を乗せたいそうですが、鯛の刺身でも良いのでは?(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)

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